―大通り北―

 広い通りだった。さっき評議会館へ向かう時に少しだけ通ったが、ここが大通りなのだろうか。地図で確認すると、どうやら読みは当たっていたらしい。
 この通りは神殿前広場とショルグ前の広場とを繋いでいる。プルトを北から南につっきる通りだ。だから人通りも多かった。

???
「おい」

 すると突然男の人の声がした。誰かを呼んだのだろうか。

???
「おい、お前だ、お前!」

 え、もしかして私? 周りをきょろきょろと見渡す。茶色の髪の若者が、私に近づいてきた。

???
「こんな通りのど真ん中で突っ立っていたら、通行の邪魔だろうが」

 あ。今気づいた。私は慌てて、ふちのほうによった。


「ご、ごめんなさい!」

 続けて頭を下げると、彼のほうが少し目を丸くして、そっぽ向いた。

???
「いや、分かればそれでいいんだけどな…」


「まだ移住して間もなくて、次にどこへ行こうかと考えていたんです」

???
「ふうん、見かけない顔だと思ったら、やっぱり移住者かよ。ま、でも、こんな通りの真ん中で考え事はよせよ。見れば分かる通り、ここは人通りが多いんだ。あんましボケっとしていると人ごみに流されるから注意しろよ。特に2日は新年祭のために人の波ができるからな」


「分かりました。ありがとうございます。…あの、ところであなたのお名前は」

 すると彼は面倒くさそうに眉根を寄せる。
 …なんか怖そうな人だなあ。

レイド
「名前? そんなものを聞いてどうするんだ。…まぁ、いい。レイドだ。あんたは?」

 私は自分の名前を告げた。

レイド
「ふぅん。ま、気が向いたら覚えておいてやるよ。それじゃあな」

 彼は、そのままそこから東にいった家が集まっている場所へと消えていった。
 …レイドさん、か。さっき会ったエヴァンさんとは大違いだなあ。

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