『結ぶ』



「待て、バンダナが曲がっている」

 シグルドは上着を軽く肩に羽織って、寝台から離れようとするハーヴェイの腕を後ろから掴んだ。





「別にいいじゃねえか」





 ハーヴェイは不満そうに言うが、このまま行かせるわけにはいかなかった。




 ずれたスカーフ、着乱れた衣服。

 情事の残り香を無邪気に振りまきながら、船内を歩き回るのは勘弁してほしい。

 ほんの微かなこれらのしるしから、二人の関係の秘密に気づく者などいないだろう。

 だが、それはもう気分の問題であった。

 恥じらいや羞恥心というよりは、独占欲と言いかえたほうがしっくりくるかもしれない。

 普段とは違う意味を持つ服、違う声、違う表情。

 それを惜しげもなく晒すのは、どうか自分の前だけであれと。




 ハーヴェイのバンダナを結びながら、くだらない、子どもじみた己の愚かさを思って、シグルドは自嘲の笑みをもらした。


文章:はなふじ様


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一人絵チャしていましたら、はなふじさんが来て下さいました(嬉)。
で、私がもそもそ絵を描いている時に(三番目の絵です)、はなふじさんがこのような文章を打って下さいまして…!
あのような絵からこんな素敵な話を書けるなんて素晴らしすぎる…(はなふじさんに敬礼!びしっ)。

独占欲の強いシグがたまらんです。萌えポイントと言ってみますよ、ええ!
ありがとうございました!