■第一話『それは娘への意地から始まった』 4人の息子達が全員成人して一息ついた頃、ファレーネはアムラームに擦り寄り、こう言いました。 「ねえ、アムラーム。私、娘がほしいの。絶対に娘にコーラルと名付けたいの」 (ファレーネはがしっとアムラームの両腕を掴む。あまりの迫力に驚くアムラーム) 「あ、ああ。それは前にも言っていたね。…だから、協力しろって…?」 「うん、そうなの(はぁと)」 「でも、また次も男の子という可能性もなきにしもあらずだろう。それに、アズールが誕生したときに、諦めた、と言っていたじゃないか」 「そうよ。一度は諦めたわ。でもね、やっぱりあなに似た娘(ポイント)に「お母さん、大好き!(はぁと)」「お母さん、お仕事頑張ってね!(はぁと)」「お母さん、お使い言ってきてあげる!(はぁと)」「お母さん、私、結婚するわ! これまで育ててくれて…本当に、本当にありがとう(涙)」なんて言われる夢を諦めきれないのよ」 (それって、普通は母親のじゃなくて父親の夢じゃないのかな…) 「ね、だから、いいでしょう?」 「…ああ、別に構わないよ。君が望むなら」 「ふふっ。アムラーム、愛してる(はぁと)」 「僕はもっと愛してる…」 (ハート小乱舞) 「あ、失敗! 秘技リセット!」 (ハート小乱舞) 「ダメ、やっぱりハートが少ない。ええい、もう一度!」 (ハート小乱舞) 「く、ダメだわ。でも、負けないわよ。前にどこかのデータで6人作ったときなんて何十回とリセットしたんだもの」 (ハート大乱舞) 「やった♪ 成功、成功。たった3回だけだったから運が良かったみたい。楽しみね、アムラーム(はぁと)。女の子であるように祈っていてね」 「あ、ああ、そうだね。(もう子供ができたって分かったのか? 普通は半年前になって初めて分かるんじゃ…)」 ※ファレーネには管理人が乗り移ってます(笑)。 ※二人とも本当は3段階目です。 長男ウォルナット 「5人目ができたって? …どうでもいいよ。これ以上増えたところで何の変化もなし。次は親父に似た大人しい奴であることを祈るくらいだ。 言っておくけど、下2人の腕白チビどもの世話するの、めちゃくちゃ大変だったんだぞ。言うこと全然聞かないし。ま、俺はそいつが誕生する前に家出て行きたいと思ってるけどな。 ああ…、彼女は、いる。だって、俺も今年で10歳だしな。そろそろ身固めないと、とも思ってるし。彼女がどんな人だって? 金髪ウェーブの…一応美人。キーコって名前だけど…。 何? 俺には勿体無いだと? どういう意味だ…。いや、そりゃ紹介してもいいけど…彼女の前で俺のことをクルミって呼ぶのだけは勘弁してくれよ…」 二男サルファー 「そっか。5人目ができたんだ。おめでとう、父さん、母さん。ずっと娘がほしいって言ってたもんね。今度は娘だといいよね。ぼくも妹がいれば、と思っていたし。可愛いんだろうなあ。きっと。 …こら、アズール。こき使うなんてバカなこと言ってるんじゃない。そうだね。アシみたいにしてた兄さんやアンバーも確かに悪い。ん、僕がそんなことするわけないじゃないか。いいかい、そういうのは脅しなんて使わなくとも自発的に自分に服従するように最初から教育しておくんだよ。ふふ。…って、なんだい、その目は。本気にしたの? 冗談に決まってるだろう。 ん、なんだい、母さん。…ああ、僕にも一応は恋人はいるよ。当分の間は誰かは内緒ってことにしておいてよ。そういう時になったらきちんと紹介するからさ。 おや、アンバー、もう出て行くのかい? ああ、彼女とデートか。いいところを見せようとして失敗するなよ。よし、気張っていくがいい!」 三男アンバー 「げ、マジで子供を作りやがったの? 信じらんねえ。その年で? こんな年寄りが親じゃ可哀相じゃね? いてっ、髪引っ張るなよ! 悪かったって! はいはい、どっちもまだまだ若いです! ぴっちぴちです! ま、とりあえず、今日はお祝いなんだな。じゃあ、一つ提案。夕食はポットパイがいい。それは俺の好物だって? いいじゃんよ、別にぃ。生まれてくる妹か弟もきっと好きになるって。な、だって、お袋のポットパイ、美味いし。 っとと、もうこんな時間! 俺、これからグリージャとデートなんだわ。そろそろいかねえと。いつの間にあいつとできてたんだって? ふふん、親の知らないところでも子供の時間はしっかり動いてるんですのよ。お分かり? きっとこうして親父やお袋も年を取ったなーって実感してくんだぜ。 兄貴、茶化すんじゃねーっての。んじゃ、一発決めてくるぜ。行ってきます!」 四男アズール 「えっ! マジで!? ばんざーい! 多分、この中で弟か妹ができるのを一番喜んでる自信あるよ、おれ、えへん。親父やお袋が忙しい時もおれが目一杯面倒見るよ、絶対。妹だったらめちゃくちゃに可愛がるし〜、もし弟だったら代わりにこき使える! った〜…、なんだよー。サルファー兄。叩くなよぅ。だって、これまでアンバー兄にもクルミ…じゃない、ウォルナット兄にも散々脅されてこき使われてたのに。うう、確かにこっちも言ってることを全然聞きわけなかったっていう自覚あるけどぉ…。だから、冗談だって、冗談。こんな年になってそんな大人気ないことするわけないじゃん。素直に喜んでるって。 だけど、やっぱさ、妹がいいね、妹! お兄ちゃん、お兄ちゃんって呼んで後ろからついてきたら、もう最高。可愛いだろうなぁ…」 * / 戻る / 第2話へ |