■本編:『プロローグ』 ルヴィース 「な、ルシマ。俺たち、もっともっと前に出会えていたら良かったよな。そうしたら、もっと長くルシマといられたはずだもんな」 ルシマ 「うん、本当にそうだね」 ルヴィース 「でもさ、考えたことないか? もしかしたら、俺たち、出会ってたかもしれないって」 ルシマ 「え?」 ルヴィース 「出会ってたけど、気付かなかっただけかもしれないよなー。ルシマのその髪の毛とか、目とか、最初に見たとき、どっかで見た気がしたんだ、俺」 ルシマ 「どこかで出会ったことが…。うん、でも、私もね、そんな気がしてたの。ルヴィの黒い髪とか、黒い瞳とか見たことあるって。きっとルヴィは子供の頃も今もそんなに変わっていなかったんだろうなあ」 ルヴィース 「ははっ、それを言うならルシマもそんなに変わってないと思うなー」 ルシマ 「え、そ、そう、かな…?」 ルヴィース 「なあー、ルシマ(おでこをくっつける)」 ルシマ 「な、なあに?(どきどき)」 ルヴィース 「もし、もしさ。この後、二人ともじーちゃんやばーちゃんになって死んじゃってさ、生まれ変わって新しい人生を歩むことになったとしても、俺、ルシマのこと、また見つけるからさ!(ルシマをぎゅ〜っと抱きしめる)」 ルシマ 「ルヴィ…」 ルヴィース 「んで、今度、子供の頃にルシマと出会えたら、俺、次は、次こそは絶対覚えてる! だって、もしかしたらもっともっとルシマとの時間を楽しめるかもしれないし。いいや、楽しめるよ。な、そうだろ?」 ルシマ 「うん。私も、もしそうなったら、絶対ルヴィのこと、覚えてるよ。忘れない、絶対に」 ルヴィース 「うん、絶対覚えていような。んで、もっともっとずっと一緒にいよう!」 ルシマ (覚えてる…、絶対に。絶対に…) : ルシマ 「ルヴ…ィ…。あ…(目を覚ました)」 アストール 「幸せな夢でも見てたか?」 ルシマ 「アス…? あ、あれ、わたし…今」 アストール 「まだ夢の中か? もうすぐでプルトに着くみたいだぜ。さっさと起きて準備したほうがいいぞ。でさ、さっきちょこっと話があったんだけど、おれら、別々の家に引き取られることになりそうだ」 ルシマ 「え、なんで…!? 嫌だよ、そんなの! アスと離れちゃうなんて…!」 アストール 「仕方ないだろ。向こうのほうの都合があるんだから。だからさ、ルシマ、もっとしっかりしてくれよ、頼むから。おれがいつもルシマのこと守れるわけじゃないんだ」 ルシマ 「うん…」 アストール 「少なくとも何もないところで転ぶのはやめろよ」 ルシマ 「う、うん…」 アストール 「あと、そのどこかの親父の金色の髭をもてあそぶのもやめとけよ。絶対に変に思われるから」 ルシマ 「…う、うん…」 アストール 「後者だけはマジでやめとけよ。本当に分かってるのか?」 ルシマ 「わ、分かってるもん…(イムのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる)」 アストール 「…それ、そのイムのぬいぐるみ、お前、名前つけてたよな。なんて言ったっけ?」 ルシマ 「あ、うん、あのね、ツェーンっていうの。で…、(ふところから鳥のぬいぐるみを取り出す)こっちのピコのぬいぐるみがヴィックなの」 アストール 「ふうん、ツェーンとヴィックね。お前ら、ちゃんとルシマ、守れよ?(イムとピコのぬいぐるみをつつく)」 ルシマ 「アス…」 アストール 「おれたち、向こうに行ったら、少なくとも書類上じゃ双子じゃなくなるから。でも、覚えていような、おれらだけは」 ルシマ 「うん、私、絶対に忘れないよ。忘れない…、覚えてる…(あれ、私、さっきの夢で同じことを言ったような?)」 アストール 「うん? どうした? まあ、いいや。俺、先に準備しにいくから」 ルシマ 「うん」 : (準備を終えて、甲板へ) ルシマ 「寒いなあ…。ん?」 (ばたばたと後ろから子供がかけてきて、船の先から体を乗り出すように陸地を眺める) ??? 「おお! あそこがにーちゃんのいる国かあ! でけえ大陸だなあ! あ、緑も多い!」 ルシマ (…あれれ? なんか、遠い昔に見たことある子のような…? 知り合い、じゃないよね?) ??? 「あ、君もプルトの移住者?」 ルシマ 「う、うん」 ユナン 「そっか! お仲間だ。おれね、ユナンっていうの。君は?」 ルシマ 「ルシマ…」 ユナン 「ほへ? ルシマ? ルシマ…。ルシマ…!? …うそ、マジで!? うわあ、ルシマっておれのかーちゃんと同じ名前だー!! すっごい、ぐーぜん♪ あれ、でも、心なしか顔も似てるような…?(じろじろとルシマの顔を覗き込んで眺める)」 ルシマ 「あ、あの…(おろおろ)」 ユナン 「ん? …うあ!(後ろに飛びのく) ご、ごめんっ。あ、…え、ええと、ルシマって、よくある名前なのかなー。おれ、かーちゃん以外で聞いたことないけど」 ルシマ 「私も自分と同じ名前の人がいるなんて初めて聞いたの」 ユナン 「へー。じゃあ、やっぱすごい偶然なんだ。すっごいなあ! あ、おれね、にーちゃんがあそこにいてね、移住しにきたんだ。お土産もたくさん持ってんの、ほら!(懐からいろいろと取り出す)」 ルシマ 「へえ、凄いね。見たことのない珍しい物ばかり。あ、パン? 美味しそうだね」 ユナン 「へへ。これね、かーちゃん手製のパンなんだ。にーちゃん、これに目がないの。これをもっていって、にーちゃんを吃驚させてやるんだ♪ すっげー楽しみー(*^^*)」 ルシマ 「うん、きっとおにいさん喜ぶよ」 ユナン 「じゃ、ルシマちゃん、おれ、そろそろ行くね。下船の準備しなくちゃ!」 ルシマ 「…おにいさん、か。本当にアスと離れなくちゃいけないのかなあ…。やだなあ…。怖いよ…。怖いよ、アスおにいちゃん…(しゃみこんで泣き出す)」 ??? 「ねえ、どうしたの? 泣いてるの?」 ルシマ 「え…?」 ??? 「??あっれー…? あれ、俺、君と会ったことあった、っけ…?」 ルシマ 「あ…」 ??? 「…ない、よなー? だよな。うん。なあ、大丈夫か、泣いてたんだろ?」 ルシマ 「だ、大丈夫っ。私は大丈夫なの!(立ち上がる)」 ??? 「ホント? でも、君ってそういって人に心配かけまいとして振舞うから、逆に心配なんだよなー。って、あれ。なんで俺、君の事しってんのかな? おかしーなー…。変なの」 ルシマ 「あ、あの! あの、私、ルシマっ。ルシマ・リード。あなたのお名前は…?」 ??? 「俺は、ルヴィース。ルヴィース・ラスフィード」 ルシマ 「ルヴィース、君…」 ルヴィース 「言いにくいから、ルヴィでいいって。俺の親とかルソウ…ああ、俺の兄弟なんだけど、みんなそう呼んでるし」 ルシマ 「うん…」 ルヴィース 「えーと、ルシマもプルトへの移住者なんだよな? じゃあさ、またプルトで会えるよな?」 ルシマ 「う、うん」 ルヴィース 「そっか、良かった。じゃ、次はプルトで一緒に遊ぼうなー!」 : ルシマ (ルヴィ…君) (そうして、子供達を乗せた船は、いくつもの未来をのせてプルトに到着したのだ) <本編『プロローグ』おしまい> 顔画像の転載禁止。 (C)2002 althi Inc./(C) 2002 Riverhillsoft inc. 下準備編3話へ / 戻る / 第1話 |