■第三話『こんにちは、6人目の子供』

ジェイド
「?」
アズール
「うわ、うわ、うわー! ちょっと、ちょっと、こっち見て首かしげたよーっ!」
アンバー
「お前、はしゃぎすぎ。馬鹿だろ。…しっかし、このチビすけ、俺らのこと、ちゃんと認識できてんのかな」
ジェイド
「えと、コハクお兄ちゃん?」
アンバー
「お、ちゃんと分かってるじゃん。そうそ、俺がコハクだぞー。いや、一応本名はアンバーなんだけどさ。今じゃ誰もそんな名前で呼びやしねえ…。ま、とにかくお前の3番目の兄貴だ」
ジェイド
「で、こっちが…えと、…ソラお兄ちゃん」
アズール
「〜〜、かわいいじゃん! 妹がいいと思ってたけど、こんな素直なら弟でもいい! そうだぞ、おれがソラ! 4番目の兄ちゃんだ。思わず頬擦りしちゃうぞ! …わ、ほっぺたぷにぷに〜。つんつん」
ジェイド
「お兄ちゃん、くすぐったい」
ウォルナット
「言っておくけど、可愛いなんて、このくらいの年の頃だけだって。同性の兄弟なんて将来はライバル決定。お前らだって最初はそれはそれは可愛いもんだったぞ。それがなあ。今ではこんな可愛げのない連中に育って。…はあ(溜息)」
サルファー
「はは。だけど、兄さん。これだけ年が離れてると実際かわいいばっかりだよ。僕達からみれば、子供といっても通じる年齢差だしね」
ウォルナット
「確かにな…」
サルファー
「それに、ちゃんと翡翠色の瞳。名前の通りだね。ある程度は狙ってつけたみたいだし、良かったんじゃない?」
ジェイド
「あの、クルミお兄ちゃん、なんか怒った顔してる…。ぼくのせい?」
ウォルナット
「…ん、別に怒ってないさ。これは地顔だ。大丈夫、クルミと呼んでも怒らないよ。…お前にだけはね(ジェイドの頭をなでなで)」
アンバー
「ていうか、クルミの兄貴さ。やっぱり、家を出てないのな」
サルファー
「キーコちゃんと進展しなかったんだね」
ウォルナット
「うるさいな…。ていうか、お前らにはクルミと呼ぶのを許した覚えはない!」
アンバー
「はいはい。悪かったですって、お兄様」
ジェイド
「(きょろきょろしながら)ねえねえ。サルファーお兄ちゃん、お母さん達どこにいるの?」
サルファー
「あ、お母さん達は出産なんだよ。あのね、ジェイドに弟か妹ができるんだ。分かる?」
ジェイド
「弟か、妹…?」
サルファー
「そう」
ジェイド
「よく分かんない…。けど、それって楽しいことなんだよね?」
サルファー
「そうだね。楽しいというのはちょっと違うけど、きっとジェイドにとっても喜ばしいことだよ」
ジェイド
「えへへ、わあい」
アンバー
「しっかしさあ。いくらなんでも遅くね? …また男だったのかね」
アズール
「かもだね…。おれ、また見てくるよ。ちょいとお待ちになってて下さいね、っと」



アズール
「えーっと。父さん、母さん…?」
ファレーネ
「…ねえ、アムラーム。これは呪いだというの? いいえ、違うわね。これはきっと私達に課せられた道、あらかじめ定められたものだったのよ。そう、まさに運命! うふふ…。あはははははは!」
アムラーム
「ファレーネ、落ち着くんだ! ファレーネ!!」
アズール
(う、わあ…。滝汗)
アムラーム
「そ、ソラ! お前も抑えるのを手伝ってくれ!」
アズール
「ら、ラジャ!」



(しばらくお待ち下さい)



ファレーネ
「うう。どうして6人目も男の子なのよぅ…(しくしく)」
アムラーム
「仕方ないよ。こればっかりはさ。ね、ファレーネ。それよりもこの子が元気に生まれてきてくれたことに感謝するべきだよ。ファレーネも、本当にお疲れ様」
アズール
「なあ、お袋、もう諦めろよー。ほら、いっそ、6人全員息子だなんて清々しいじゃん?」
ファレーネ
「… … …」
アムラーム
「えと、ファレー、ネ…? 何考えているのかな?」
ファレーネ
「…性別を偽って娘として育てる、というのはどうかしら?」
アムラーム
「却下(即答)。そんなことしたら駄目。いや、その前にできないけど。大体、何の解決にもならない」
ファレーネ
「ちっ。やっぱり駄目か…。そうね。ソラの言う通り、いっそ清々しいかもね。実際、快挙よね。狙っても簡単にできるものじゃないし。…あああ、でも。娘! コーラル! 娘をプリーズ! …というわけで、私、諦めたわけじゃないからね、アムラーム?(にっこり)」
アズール
(本気で7人目を作るつもりかよ!?)
ファレーネ
「この間ね、コハクが湖でグリージャちゃんとデートしているのを見たのよ。ふふ。それとクルミもそろそろね、きっと。サルファーは、この間、新しい娘さんとデートしているのを見かけたわ。今度はミナコさんと違ってどっちかというと同年代だから、きっと上手くいくわね。うふふ」
アズール
(お袋、どうしてこんなに詳しいんだ。覗きか? デバガメか? そうなのか、なあ?)
ファレーネ
「で、ソラ、あなたはまだなの?」
アズール
「うっ…まだ、です…」
ファレーネ
「まさか誰かの成人まで待ってる、なんてことはないわよね。だったら、早く恋人くらいは作りなさい。いいこと、早急によ。じゃないとどうなるか、分かるわね…?」
アズール
「は、はひ…(母さんはやっぱりサルファ兄の母親だ…)」
ファレーネ
「とはいうものの、いい加減、コハクかクルミ辺りが片付いてくれないと難しいわよねえ。ヒスイもこの子も私の才能を2つとも持ってきてくれたけど。ソラはジマしか持ってないし。同じ一つしか才能受け継いでなくてもサルファーは何かと要領がいいけど、あなたは、全然だものね」
アズール
(母親からもこんな仕打ち。おれ…、なんかムショーに泣けてくるんですけど…どうしてなんだろうな。あはは…は…は…。ううう…。しくしく)
アムラーム
「そ、ソラ…(おろおろ)。ほ、ほら、ファレーネ。子供の名前を付けよう。どういう名前にする?」
ファレーネ
「名付けなくちゃいけないけど、本当に名前のストックがないのよね…。絶対に女の子!と思っていたから。(ぱらぱらと色名事典をめくる)あ、これにしましょ。ウィロー・グリーン。柳色ですって。うん、ウィロー・フェン。いい感じ。決定。だけど、ウィローってあれよね。「ういろう」よね。ああ、とっても美味しそう…。美味しい緑茶や抹茶と一緒に頂くとまた格別。管理人的には某タイガー屋の栗ういろうが好きなんですって(思いっきり地方ネタ)。あ、期間限定のイチゴういろうも割といけてたって。洋菓子みたいだったって話だけれど。ちなみにういろうって漢字で書くと「外良」ってことらしいわよ。多分「ないろ」の「内良」と合わせてつけられたと思うんだけど、わけ分からないわよねー」
アムラーム
「た、タイガ?(汗)…虎? …よ、よく分からないけど、ウィローは良い名前だと思うよ」
ファレーネ
「柳色だから、将来、パス取りの際には緑系のショルグとウルグにいれましょ。ウィロー、元気に育つのよ」
アズール
(…実はおれらの名前って凄くいい加減に付けられてるんじゃないんだろうか)

とにもかくにも、フェン家に6人目の息子が誕生しました。
命名「ウィロー」。通称ヤナギ君(「ういろう」でも可。笑)

ファレーネ
「…ああ、せめて、せめて父親似でありますようにっ!」

いかん、今回いまいち勢いがない気が…。とはいいましても、いつもテンションが高いのもどうかと思いますし、たまには…? でも、ソラ、玩ばれ役が定着してる気が…(汗) おかしい。その役目はクルミ兄ちゃんのはずだったのに…。
サルファー兄ちゃんは年相応の娘さんと付き合い始めました。一安心のような、でもちょっとだけ残念なような。

第2話番外へ / 戻る / 第4話へ