■第十話『閑話休題〜アヤメちゃん、異世界へ行く』

アヤメ
(寝て、目覚めても、様子は変わってなかった…。あれは夢じゃないかと少しは希望があったのに…)

もともといた世界と性別が入れ替わっている変な世界に紛れ込んでしまったフェン家の養子アヤメちゃん。
それもこれもフェン家に関係したからなのではという疑問をひしひしと感じておりました。

アヤメ
(はあ。気分を変えに海でも見に行こう…。うん、少しは落ち着くかもしれない)

とぼとぼ歩き出して浜までやってくると、海を眺めました。

アヤメ
(ああ、さざ波の音も耳に優しいし、この大きな海を見ていると落ち着くなあ…)

ぼーっと眺めながら、うとうととし始めるアヤメちゃん。
しかし、突然目の前が真っ暗に。

ソラ
「アーヤーメーちゃ〜ん♪ だ〜れだっ!?」
アヤメ
「きゃああああああ!!!!」
ソラ
「あ、あれれ…?」
アヤメ
「だ、だ、だだだだ、誰っ、いったい誰っ!? なんとなく、想像つくけどもっ!」
ソラ
「あはは、ごめんね〜。まさか、そんなに驚くとは思わなかったからさっ」
アヤメ
(こ、この振り向き具合は、やっぱり…)
ソラ
「あっれえ。アヤメちゃん、いつもとどこか違うヨ? どうしたのさ」
アヤメ
「べ、別に、そんなことないよ…。ところで、その、ソラお兄ちゃん…?」
ソラ
「ひどい、アヤメちゃん! いくら、あたしが昔が男みたいにお転婆だったとしても、お兄ちゃんだなんて〜」
アヤメ
「あ、ご、ごめんなさい、ソラお姉ちゃん…」
ソラ
「うむ、素直でよーし。そだね、アヤメちゃんだから許してあげる♪(思いっきりぎゅ〜)」
アヤメ
「く、苦しいよぅー。汗汗」
ソラ
「(アヤメの髪の毛を触りながら)あー、髪の毛さらさら〜。いいなー。あたし、くせっ毛なんだもん」
アヤメ
(ていうか、ていうか。なんか、このソラお姉ちゃん、お兄ちゃんのほうよりも若いのは気のせい? だって、あっちでは3段階目だったのに、この顔ってまだ2段階目なんじゃあ…)
ソラ
「アヤメちゃーん? なんだか、今日は本当におかしいヨ〜?」
アヤメ
「… …つかぬことを伺いますけど、ソラお姉ちゃん、年齢はいくつ?」
ソラ
「…いやーん、いかにキレイなおねーさんでも年齢のことを聞いちゃダメなのよぅ。だけど、どうして急にそんなことを聞くの? アヤメちゃん、知ってるでしょー? …はっ、あたしが若作りしてるって言いたいんだなっ!? そうなのね、アヤメちゃん!」
アヤメ
(このノリ、ファルパパそっくりなのは気のせい…? いや、確かに、元々元気な人だったけど、こんなにテンションが高かったっけ…? ああ、ダメだ。わたしにはついていけそうもない…。)
ソラ
「あ、またアヤメちゃんが遠い目してるー。むむ、あたしは寂しいぞー」
コハク
「…どこかで見た顔が並んでると思ったら、やっぱりソラとアヤメじゃないの」
ソラ
「あ、コハク姉だー。やっほ〜、相変わらずグリードさんとラブラブしてる〜?(ぶんぶん手振り)」
コハク
「ラブラブかはしらないけど、仲はいいわよ。ソラもミッキー君と相変わらずバカップルしてるみたいね」
ソラ
「ば、バカップルじゃないよー。でも、バカップルに見えるなら、それはミッキーのせい。ミッキーってば、凄くかっこいいし、あたしのことを愛してくれちゃってるもんね。えへ。この間もねー…(めろめろ)」
コハク
「はいはい、もうそれはもう聞かなくても十分に分かってるから。これ以上は言わなくてもよろしい」
ソラ
「む…。言いたいのにー…」
アヤメ
「(なんだかなあ…(ため息)。やっぱり、コハクさんも2段階目だし。それにメガネも…、 … …ってあれ、コハクさんって眼鏡していたっけ??)…ええと、コハクさん…?」
コハク
「あら、さん付けなんて、他人行儀ね。普通にお姉ちゃんでいいって言ったじゃない。…いえ、コハクお姉様(はーと)って呼ばれるいうのも妙に倒錯的よねえ…。ほら、なんていうか、赤い薔薇に囲まれた女子校っぽくてナイスだと思わない? …そうよ、だから、これからはコハクお姉様、と呼ぶことを特別に許可してあげよう(はーと)」
アヤメ
「いや、許すって言われても困るんですけど…。しかも、特別にってなんですか。汗汗」
コハク
「いやだわー、本気にしたの? 冗談よ、冗談。でも、そういう素直なとこが、カ・ワ・イ・イ♪ほっぺたつん)」
アヤメ
「… …はあ(ため息)。あの、ところで、コハクお姉ちゃん。その眼鏡、視力悪いんですか?」
コハク
「え、何言ってるの。あたし、視力はばっちり両目とも1.5よ。だったらどうしてしているのかって? この間も言ったじゃない。伊達だって」
アヤメ
「は?」
コハク
「伊達メガネなの、これ。ほら、度入ってないでしょー?」
アヤメ
「…あの、じゃあ、どうしてつけてるんです?」
コハク
「愚問だわ、それは愚問なのだわよ、アヤメちゃん!(顔をアヤメに近づける) ほら、だって、メガネをつけていれば、クールで大人の知的美人(きらーん)に見えるじゃない? …実際に、そのお陰で今の夫とも知り合ったわけなのv してやったりって感じよね。むしろ、作戦成功? うふv …まあ、でもデメリットもあって、メガネっ娘萌え〜♪とかいうそういう属性の人たちも寄ってきて、すこーしだけ困ってるんだけど」
アヤメ
(この人って…)
ソラ
「…やっぱり、アヤメ、今日はヘン!」
アヤメ
「べ、別にそんなことないと思うケド…。むしろ、わたしなんかよりも、お姉ちゃん達のほうが、よほど変…(ごふげふ)」
コハク
「ん、何か言ったかしらん、アヤメちゃん。ん〜?」
アヤメ
「…あわわ、わわわ、な、なんでもないです…(汗汗)」

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